杉工場

– 原型

– 原型 ／ 復刻

復刻シリーズは、昔の家具をそのまま再現したものではありません。現代の暮らしに適した形へと進化させることを前提としています。当時の背景を探り、材や仕上げの分析を行い、どこを尊重し、どこを変えるべきかを検証。数ミリ単位の繊細な調整を繰り返し、復刻シリーズは生まれています。

1900は、江戸時代創業の長尾製麺所にあった事務机が原型です。長きに渡り使われてきた机にはどっしりとした道具としての風格のようなものがありました。私たちはこの机の復刻にあたり、まず素材から見直しました。元は松のような針葉樹でしたが、現代の住空間に馴染むよう、広葉樹の堅木である北海道産の楢材（ナラ）にアップデイトさせました。また天板高は標準的なチェアのサイズと合うよう変更、全体のサイズ感も調整しています。天板周りには、ぐるりと深さ約1mmの意匠を施しました。些細な違いですがこのことで力強さの中にも品が生まれたように感じます。一方で、脚のディテールは原型のものを踏襲しました。直接、脚が触れる部分は角を面取りする一手間を加えることで、使い手にも優しく、且つ楢材の精悍な表情も生きてきます。引き出しの内部も原型に習い、杉材を使用。引き手は、現行品に同じイメージのものがなかったので、真鍮を使い新たにオリジナルで製作しています。クラシカルでありながらも、クラシカルなだけではない。使い手の人生とともに、新しい歴史を重ねてゆくデスクになれたらと思います。

誕生のきっかけとなった長尾製麺所とのお話をお知らせページに掲載しています。あわせてご覧ください。