杉工場

企画展

中村友美 個展

春が深まる頃、金工 中村友美の個展を開きます。
作家の九州初となるこの度の展覧会は、大阪のギャラリーippo plusと協働して開催いたします。
ここ「杉工場」の倉庫が作品の最高の舞台となる 9日間、皆様のお越しをお待ちしております。
展覧会に花を添えるよう、御菓子丸 杉山早陽子とippo plus 守屋里依による茶と菓子から拡がる
うつくしさの色々を感じる会、「景譜」(予約制)も開催されます。

杉工場に年季の入った机が一台置いてある。
仄暗い倉庫の中でその静かな佇まいを見つめながら「手沢」という言葉が浮かんだ。
長く使っている間に、手のあぶらがついて自然に生じるつやのことである。
時の経過と人の手が醸し出すつや。
私が使い続けている中村友美の薬缶にも愛おしい手沢がある。
時に物は、その作り手が定めた完成形から一人歩きし、使う人のもとで共に育つ。
そこに愛があれば、物はただただ古びてはいかない。
人から受け継ぎ、人へと引き継ぎ、全ては移ろいゆくからうつくしいと教えてくれるのだ。
中村友美の作品に多くの人々が理由なく心動かされるのは、その輪郭やフォルムだけではない。
そこに時間と人の気配を感じるからだと私は思う。

ippo plus 守屋里依

プロデュース|ippo plus 守屋里依
ディレクション/会場構成/写真|masayuki takahashi design studio 高橋真之
展示什器制作|杉工場