杉工場

企画展

Yoshii Oasis ”mon Sakata 40th anniversary special exibition”

mon Sakataは、今年40周年を迎えました。
このブランドを手掛ける坂田敏子さんは、たくさんの仕事をこなしている方なのにいつも軽快でかっこいい。
そして、お姉さんのように優しい憧れの大先輩です。
monとは、当時2才だった息子さんの名前「彩門」からきているのだと聞きました。
遊び心があり、ワクワクするデザインが生まれてくるアトリエは、まるでたくさんの色絵具のような、
敏子さんのアイデアが詰まった世界です。
そこには、制作の過程で出た布きれや糸くず、試作に使われたたんくさんの素材が保管されていました。
「捨てられない」という敏子さんの言葉の奥に、深い愛情を感じます。
〝大切な素材を最後まで活かしていく〟
それは敏子さんにとって、とても自然な行為なのかもしれません。
種がまかれ、やがて実を結ぶようにすべては循環し、何ひとつ無駄なものなどない、そんな土壌の中から
新たなものづくりが生まれているのでしょうか。

私たちの工場では、40~100年近くかけて育った木材を原料としています。
そんな尊い木を使うわけですから、細部まで活かしきらなければなりません。
大量にモノが消費される中、命がいい加減に扱われてはならないと感じています。
時代というものに流されて、私たちの工場も迷った時期がありました。
しかし、流行に左右されることなくいつまでも大切に使ってもらえるものづくり、
このことを目指していかなければならないと改めて思っています。

mon Sakataが細い糸を紡ぐように、温めつづけてきたこととはどんなことだったのでしょうか。
今回の展覧会では、大切な想いが込められた品々をお借りして、築100年の倉庫に展示をしました。
まさに人生いろいろです。
40年間のDMやその試作のための手作りのカードからは、ものづくりへの熱意を覗き見ることができます。
糸という素材から服が出来るまでの過程や、創作のためのアイデアなど、できるだけたくさんの展示をしたいと思います。
さらに、40周年の記念に作らせていただいたハンガーや、本の販売もいたします。
ぜひ会場にてご覧になっていただきたいと思います。
その他にも、敏子さんとの何気ない会話の中からアドバイスしていただいた杉工場の家具も展示しております。

敏子さんが初めて吉井を訪れたのは、確か10年ほど前になるでしょうか。
それから何度となくこの街を訪れてくださっています。
展覧会のタイトルは「Yoshii oasis」これは敏子さん自身の言葉です。
豊かな自然や温泉、穏やかな古い町並みは、もしかしたら敏子さんにとっての心のオアシスのように
映っていたのかもしれません。